大人連歌(ひまわり連歌)
月に1回(毎月第1水曜日17時から)
2010年2月10日・3月10日
ー初折表ー
一 白梅に雨のやさしき夕べかな 東三子
二 風柔らかく萌え初むる野辺 賤
三 背山よりはや鶯の鳴きいでて ともこ
四 遠く霞める島なみの見ゆ 瑛
五 小舟行く潮の流れの早かりき 君子
六 案山子の立てる畦道を過ぐ 吉治
七 月出て井戸の屋形の影著く 東三子
八 菊の香りの漂ふ静寂 ともこ
ー初折裏ー
一 蔵奥に笈なる書は捨て置かれ 賤
二 紙魚逃げゆくを媼の払ふ 君子
三 友がきと語らふ宿の涼しかり 瑛
四 茜に染まる九重の山 勝枝
五 八重の紐解きて契りし堅き仲 吉治
六 出雲の神よみそなはせ恋 東三子
七 木枯に旅こそよけれ光見ゆ 賤
八 月冴ざえと道を示しぬ ともこ
九 雪深く車を離れ歩きけり 瑛
十 轍に溜まる水跳ね上がる 吉治
十一 笛の音の丘の上まで響きをり 君子
十二 陽炎追ふや子らの駆け去る 賤
十三 花散りぬ風は吹くとも吹かぬとも ともこ
十四 故郷遠く鳥雲に入る 東三子
ー名残折表ー
一 高楼にひとの群れたる地震の国 吉治
二 チリ大変と雷騒ぐ ともこ
三 猫慌て御簾の蔭こそ逃げ場なれ 賤
四 升酒干せど虎にはならず 東三子
五 海山の幸を携へて来りけり ともこ
六 炉の辺に寄りて陶を調ふ 賤
七 華やかに橡の炭の盛りたる 東三子
八 木酢の香れる蔓棚を組む 吉治
九 真蒼なる空の深みに伸びる竿 賤
十 白き庭椅子ひそと風待つ 東三子
十一 霧湿る飛び石伝ひ君と行く 吉治
十二 萩の乱るる恋の道行き ともこ
十三 月まどか添はむ願ひの叶へかし 東三子
十四 雲を見るだに亡き母思ふ 吉治
ー名残折裏ー
一 故郷の丘の畑は広々と ともこ
二 旅にしあれば袖もほつれし 賤
三 裸身をさらして浴びる水しぶき 吉治
四 深き谷間の童幾人 ともこ
五 谺して重なり響く鳩の笛 賤
六 霞の彼方何か待ちゐる 東三子
七 水鳥の去りたる池に花筏 ともこ
八 春の雪降る歌詠む庵 賤